痛いから歩けないのか、歩かないから痛いのか?2つの症例


 あなたは足腰が痛む時、その痛みが回復するまで安静にするべきだと思いますか?


 近年、「痛い時は安静にする」から、「痛くても通常通りに生活する」ことで痛みが早く改善することが分かってきました。

 2つの症例をご紹介します。

 同時期に来院された70歳代と80歳代の女性の施術経過をご紹介します。

70歳代女性 腰から左足にかけての痛み


 去年の春から左腰、左殿部、左足の痛みが半年以上続いている患者さんです。

 他の整骨院に通っていましたが良くならないため当院に来院されました。


 痛い時はコルセットをして無理をしないように指導されていて、車を運転して来院されました。

初期の症状

 ・体を反らしたり左に倒した時、左側に症状がでる

 ・左殿部の痛みで足がつけない時もある

 ・病院で脊柱管狭窄症と診断されている


 一般的に、脊柱管狭窄症の時には腰を反らしたり長時間歩いた時に症状がでると言われていて、これらの動きを制限するように指導されることがあります。


安静にするべきか?

 今まで通院していたところでは、歩くことや腰を反らすことはしないように指導されています。はたしてそれが正しいのでしょうか?

 歩かない、腰を反らさないでいれば、その場の痛みは悪化しません。
 しかし、一生歩いたり腰を反らさずに痛みを避けて生活することになり、そのうち歩く事が不自由になって、自分1人では外出することができなくなる可能性さえあります。


 この患者さんは左殿部から大腿の後面にかけて筋肉がガチガチに凝り固まっていました。脊柱管狭窄症による神経症状ではありません。

 「痛みがあってもできる範囲で歩いて大丈夫ですよ」とアドバイスしました。

 3回目の来院からは片道20分程を歩いて来院されるようになり、そこからどんどん回復しています。

 画像検査で異常が見つかっても痛みの原因はそこにないことがあります。こちらの記事を参考にしてください。「関節や椎間板の変性があっても腰や膝の痛みが良くなる理由4つ」


80歳代女性の腰、両ふくらはぎの痛み


 20年前、右変形性膝関節症のため関節内に注射をした際感染してしまい入院、それから腰と両足の症状が悪化して歩く事も困難との事です。

 家の中の事もほとんどをご主人がやっていて、通院もご主人に車で送ってもらっています。

初期の症状

・痛くて歩けない(本人の訴え。室内は歩ける)

・腰部脊柱管狭窄症と診断される

・腰を伸ばせない(疲れてしまう)

・屈むと痛い

・両膝が曲がらない


「 とにかく歩くと痛いので歩けない。」
 これが患者さんの訴えです。

悪い方向に考えてしまう

 患者さんの考える歩けない理由について考えてみました。

 《痛くて歩けない…》
 室内では歩けるのだから、とにかく歩いてみなければ本当に歩けないかは分かりません。
 歩いてみて「痛くてもここまで歩けた」と自信を持つことが大切です。
 
 《脊柱管狭窄症だから…》
 患者さんは、腰を伸ばすと疲れるので背中が丸まってしまうそうです。(痛みは出ません)
 一般的な脊柱管狭窄症の症状は、背中を反らす、長時間歩くなどによって症状が悪化すると言われています。疲れてしまうので背中を反らさない、前屈が痛いこの患者さんの症状とは違います。

 《両膝が曲がらない…》
 数回の施術後は、両膝が曲がるようになりました。長年動きを制限していたため関節が硬くなっていただけで関節内の問題ではないようです。歩いて痛みが生じているのは両ふくらはぎで、動かないことによる血流不良が原因と考えられます。

 《手術すれば歩ける…》
 上記の理由から、私は手術しなくても症状を改善できると考えます。


 また自由に歩けるようになるには、このような思い込みを修正して痛くても歩いてみることが大切です。

 こういったアドバイスをしましたが、「でも痛いんです…」というのが先に立ち考えを変えることができません。


それでも動くことをお勧めします

このまま歩かないと…

 痛いから歩かない 
           ↓
    筋肉の衰え
           ↓
     新たな痛み
           ↓
  本当に歩けなくなる


痛くてもできる範囲で歩くと…

痛くても歩く
      ↓
体が強くなる
      ↓
歩けるようになる
      ↓
痛みが軽減する
      ↓
    回復

 
歩くことによるメリットは、身体的なものだけではありません。


 運動することによって脳の働きが活性化され、ドーパミン(幸福物質)、セロトニン(癒しの物質)、エンドルフィン(脳内麻薬)といった脳内物質が分泌されやすくなります。


 それぞれに鎮痛作用があり、特にエンドルフィンはモルフィネの6、5倍の鎮痛作用があると言われています。

まとめ


 同じ脊柱管狭窄症の診断をされている2人ですが、考え方や捉え方をプラスに変えていった患者さんは痛みが改善しました。
 
 痛みがなくなるまで待っていては、いつまでたっても歩けないままで痛みも改善しません。
 痛くても歩くことによって自信がつき身体の機能も戻ってきます。動ける身体を取り戻した結果痛みも引いて行くのです。 

 もし、長引く症状で動くことを避けている方がいたら、私は積極的に動くことをお勧めします。身体を守りすぎて症状が悪化する前に…