五十肩(肩関節周囲炎)

 中年以降に多く発生し、明らかな原因を特定できない肩の疾患を「五十肩」(肩関節周囲炎)といいます。


 
 自然に治る事もありますが、痛みのために肩の関節が固まってしまい、回復するまで長期を要する事があります。


五十肩の症状

疼痛(肩の痛み)


 肩関節周囲から腕にかけての痛みがあります。

 急性期には安静にしていても痛みが強く、痛みを避けて動かさないと関節の動きも悪くなってきます。


 夜間痛や、運動痛も五十肩の特徴であり、

◉ 痛い方の肩を下にして寝れない

◉ 腕が上まで上がらない

◉ 腕を背中に回せない

◉ 腕を頭の後ろに回せない


などの症状が生じます。


慢性期の運動制限


 急性期の鋭い痛みが治まると、鈍い痛みに移行してくることがあります。



 肩を動かす範囲が徐々に少なくなり、気がついた時には日常生活に支障が出るほどに関節の動きが悪くなります。

 慢性期には痛みは徐々に軽減しますが、可動域制限は残っています。


 多くの場合自然に良くなりますが、1年かそれ以上の年月を要することもありますが、治療によって早期に関節の機能を取り戻すこと期待できます。

 

五十肩の特徴

鑑別疾患


 画像検査で原因が見つからず、鑑別が必要な疾患が除外されれば、五十肩と診断されます。


◉ 肩峰下滑液包炎

◉ 腱板炎
 
◉ 腱板断裂

◉ピンジメント症候群

◉ 石灰性腱炎


 などの疾患との鑑別が必要となります。

動きの特徴

 肩の関節は、もっとも可動範囲の大きい関節なのですが、痛みが長引くにつれて腕を上げることを避けるようになると、関節は固まり、動きの制限が増えてきます。


 苦手な動作としては、高いところから物を取る、シャツなどの着脱、背中に手を回すなど、日常動作にも支障が出てきてしまいます。


 


五十肩の治療

 五十肩の症状を早期に回復させるためには、肩関節の拘縮を進行させないことが大切です。


 肩の動きが悪くなると、関節を動かそうとするだけで痛みが強くなり、更に動かさなくなります。
 動かさなくなると肩周囲の筋肉が衰え血行が悪くなり、痛みが増すといった悪循環に陥ります。


 低下した関節の可動域を改善させるために、運動療法を行うことがあります。

 しかし、痛いのを無理やり動かしていくようなリハビリでは、かえって周りの筋肉が緊張してしまい、効果が上がらないことがあります。


 まずは、周囲の筋肉に脳からの指令がうまく伝わるように、神経系を活性化させる事が大切です。

 

全身のバランス


 肩関節の動きを改善させるのに見逃せないのが、肩甲骨の運動です。


腕を持ち上げる動きをするのに必要とされるのは、腕の骨の運動だけではありません。腕の動きが肩の運動のうち3分の2、残りの3分の1は肩甲骨の動きなのです。


 肩甲骨周囲の筋肉が緊張し動きが悪いと、他の筋肉がかばうことになり、負担が増えるために新たな痛みや機能障害が生じることがあります。また、同様に鎖骨の関節にストレスがかかっていることがあり、調整が必要になることもあります。



 肩関節周囲炎(五十肩)には、必要に応じて検査と調整を行なっていきます。


 当院では、関節の機能を見て動きを改善させ、日常できなくなったことが再びできるようになることを重要視しています。


 動ける身体を取り戻し、その結果痛みも段々と軽くなっていきます。