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脳が変われば痛みも変わる!科学が到達した5つの新常識



痛みが慢性化している…
いろんな病院に行ったけど改善しない…
腰痛持ちだし膝も痛い…

思い当たる原因もないし、どうして痛みが続いているのかわからない。

そんなあなたの痛みが続いている原因は痛い場所ではなく、脳にあるのかもしれません。

この記事では、痛みと脳の関わりについて解説していきます。


慢性痛に悩む多くの人は、レントゲンやMRIなどの検査結果をもとに、テレビやインターネットなどから多くの情報を入手します。

しかしながら、調べれば調べるほどネガティブな情報ばかりが目について、

「自分はもう一生このままだ」
「もう手術しかない」


などと思い込み、諦めの気持ちが生まれてしまいます。

いろんな治療を受けてみても改善せず、不安は増して、頭の中にはグルグルといろんな考えが浮かびます。

すると脳は疲れ、その機能を低下させてしまうのです。


脳の働きと痛みの関係


 脳の働きによって痛みは変わります。

そのことを知らないと、間違った知識に従った行動をとることになり痛みが慢性化しやすくなります。

そこで、長引く痛みやストレスが脳に与える影響について、5つの新常識をこの記事で紹介します。

1: 脳の働きが低下する

 通常のケガや病気による痛みであれば、その原因となる病気や怪我が治れば痛みもだんだんと消えていきます。

これは、前頭葉のDLPFC(背外側前頭前野)が働いて痛みの回路の興奮を鎮めるからです。

 
しかしながら、痛みによるストレスや不安、恐怖といったストレス感情が長期にわたると、脳の前頭葉が機能を低下させてしまいます。

脳の前頭葉がうまく機能しないと痛みの回路の興奮を鎮めることができません。 

 痛みの回路の興奮が鎮まらなければ、痛いところが治っているのに、脳が「まだ痛い」と感じてしまいます。

そして、何をやっても良くならない「慢性痛」へと移行してしまうのです。 


2: 脳は痛みを記憶する

  脳の中の神経回路に刺激が来るとそこが興奮します。

激しい痛みが長引き、痛み刺激が繰り返されると、痛み系が歪んでしまい、痛みの記憶ができあがってしまいます。

これは「神経系の可塑性」といって、勉強をしたり、スポーツを頑張ったりすることで、新しいことができるようになるのと同じようなものです。

つまり、痛み刺激が繰り返されることによって、痛みを記憶し忘れられなくなってしまうのです。
 


以下の項目をチェックしてみましょう。

 ・日によって痛みの程度や痛い場所が変わる

・天気や気温の影響を受けやすい

・何かの動作をした時にだけ痛みが生じる

・痛みを思い出したり話題にすると痛みが悪化する

これらの項目に当てはまる人は、脳の働きに不具合が生じ、天候や感情、記憶によって痛みの回路が興奮し、痛みが繰り返されている可能性があります。


 痛みの記憶については過去のブログでも紹介していますので参考にしてみてください。



3: 慢性痛は脳を萎縮させる

 慢性腰痛が1年以上続いている26名と、痛みのない健康な人26名の脳をfMRIで比較した研究があります。


 腰痛患者は、健常者と比較して、DLPFC(背外側前頭前野)が5〜10%萎縮していました。(Apkarian Av.et al,J Neuroscl,2004)



  痛みが慢性化して長引くと、脳が萎縮して機能低下を起こすことがわかっています。

少しの刺激でも脳の痛みの領域が活性化するため、痛みに対して過敏になってしまうのです。


  慢性痛が脳を萎縮させるなんて言われると心配になってしまいますが、痛みが回復すれば脳も回復する事が分かっています。


こちらのブログも参考にして下さい  ➡  腰痛患者の脳


4: 脳内モルヒネの働き

 何らかの要因で痛みが生じると、脳の側坐核(そくざかく)が反応して痛みを抑える物質を分泌されます。

エンドルフィンやドーパミンという物質には鎮痛効果があり、痛みを軽減させます。

※エンドルフィンはモルヒネの6,5倍の鎮痛効果


 スポーツ中のケガや、マラソンなどで知られるランナーズハイは、βエンドルフィンが分泌されて「身体の疲れ、痛み」などが軽減される代表的な場面です。


 ところが、ストレス状態が長くつづくと脳の側坐核が正常に働かなくなります。

側坐核がしっかり働かないと、痛みを抑える物質であるβエンドルフィンの分泌が減少し、うまく痛みのコントロールができなくなってしまうのです。


 そうすると、大したことのない少しの痛みを激しい痛みとして認識してしまい、痛みに対して過敏な身体の状態になってしまうのです。


5: 痛みを想像すると痛くなる

 痛みを想像したり話題にするだけでも、「脳の痛みを認識する領域」が活性化して実際に痛みが生じます。

つまり脳機能が低下して痛みに過敏な状態の人は、痛みを想像したり予想したりするだけで痛みが生じることがあります。


以下のような人は、自ら症状を悪化させている可能性があります。

・痛みの予想をする

・痛みについて頻繁に話題にする

・いつも痛いところを気にしている

・悪化していくイメージばかりしてしまう


 常に痛みに注目していると、脳のペインマトリックス(痛みの領域)が活性化して、痛みを始めとする身体症状を悪化させてしまいます。


まとめ

この記事で紹介した5つの常識は、世界各国の研究によって分かってきた新しい情報です。

昔からの慣習や常識にとらわれて悪い方向に考えてしまうと、脳の痛みを抑える領域がうまく働かなくなります。

すると、本来なら風邪やすり傷のように治っていくはずの痛みが慢性化してしまうことがあるのです。


 しかし、ここで紹介したような慢性痛の原因に対する新しい考え方を取り入れて、痛みを恐れず行動することができれば、従来の治療で良くならなかった痛みや不調から脱却できるかもしれません。



 もしあなたが何をやっても改善しない痛みでお悩みなら、良くならない原因が痛い場所にはなく、脳にあるかもしれないのです。

そして従来の治療では良くならない痛みには、
違ったアプローチがある事も知ってください。

 この記事が、少しでも長引く症状改善のお役に立ちましたら幸いです。

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あおば秀樹🦴ほねつぎ院長


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